よく、日本の植物検疫は厳しすぎると言われています。
日本以外にも、農業を大切にするアメリカ、オーストラリア、ニュージー
ランドなどは厳しくしているそうです。
切り花の場合は、花を逆さに振って、害虫が花の中から落ちてこないかを
検査するのが主な作業になります。
たとえばランの場合は、花の1つ、1つの中を調べていくのですから、
目は疲れてくるし、かなりの根気が必要な仕事といえます。
検疫官の7つ道具といわれるものには、ピンセット、ナイフ、ルーペ、
柄つき針、筆などがあります。
これらを駆使して、ていねに花を扱いながらも、虫一匹を見逃すまいと目を
光らせているわけです。
もし、虫が見つかった場合は、薫蒸(くんじょう)を受けることになります
それぞれの害虫の種類によって、しゅう化メチルなどのガスを使って薫蒸
(くんじょう)されます。
時間は、50分〜2時間ほどと、ばらつきがありますが、この間、当然花は
かなりの傷手を受けてしまいます。
しかし、たとえばタイのランなどは、あらかじめ消毒されてくるので、害虫
がでることもめったになく、全体の1%以下の確立といわれています。
さて、検疫は地道に行われていくわけなんですが、もし、花が何万本という
数になっても1本、1本調べていくのかというと、そうではありません。
そんなことをしていたら、せっかくの花がどんどんしおれてしまいます。
検疫対象になるの花の本数は、1種類につき総数が100本以下なら全部
検疫します。
150本までなら、そのうちの100本。
400本までなら、そのうちの150本。
800本までなら、そのうちの300本。
800本以上は、460本、ということになっているそうです。
何万本輸入しても、種類が同じなら、検疫は460本でよいということです
たとえば、タイから入ってくるランは、昭和61年では8600万本でした
しかし、翌62年では1億2000万本となりましたが、それでも検疫本数
は変わらず460本ということになります。
ところが、チューリップ、カーネーション、バラ、ユリなど、種類の多い
ことが特徴となっているオランダでは、そう悠長なことは言ってられません
種類が多い分だけ、時間がどんどんかかって、花の傷みが心配になってくる
のです。
もともと、距離的に遠いというハンディをもっているオランダにとって、
これでは、ふんだりけったりです。
そこでオランダでは、日本の検疫官を現地に駐在させて、輸出のときに検査
をすることにしたようです。
しかしこれでも、日本へ入ってきたときの検査がまったくなくなるわけでは
ありません。
それでも、かなりの時間短縮にはなっているようです。
こうして成田で無事検疫をすませた花達は、再び倉庫へ戻っていきます。
これらの花は、道路のすいている夜9時ごろ、成田を出発して、それぞれの
花市場へと運ばれていくのです。
