「お店の花が売れ残ったらどうするの」
みなさんからの率直な疑問として、よく聞かれることです。
売れ残って、枯れてしまったら、もちろん捨てることになります。
中にはごく一部に、ドライフラワーになるものもありますが、ドライフラワ
ーもよいものを作るためには、売れ残った花を利用していては、まず売り物
にならないでしょう。
結局、枯らして捨ててしまうようなロスを出さないためには、花をどの程度
仕入れたらよいか、ということに尽きるわけです。
仕入れは慣れてくれば、習慣と実績で、出来るようになります。
しかし、店の開業当時は、資金にも余裕がありませんでしたから、このバラ
は、あのお客様に、このカーネーションはあそこの店で買ってもらう、と
いうように、それぞれ売れ先を頭の中に描いてから仕入れをしたものです。
さて、それでは実際にロス率というものがどのくらいあるものなのか、
JFTD(社団法人生花通信配達協会)が会員店に質問した結果を見て
みましょう。
もちろん、ロス率といっても、本来300円で売るバラを、サービス品とし
て半値の150円で売った場合も含めています。
ようするに、花屋さんの頭の中で計算して、どのくらいのロス率があるか
ということになります。
全国平均で見ると、切り花が13%、鉢物18%、という数字が出てきまし
た。
また、一番ロス率の低いものは、菊の9%、逆にロス率が一番高いものは
カトレアの18%となっています。
つまり、菊のように花もちのよいものがロス率が低く、カトレアのように
特殊な売れ口で、しかも花もちのよくないものが、ロス率が高いということ
です。 これは当然のことですね。
ただし、長持ちと思われる鉢物のほうが、寿命の短い花よりロス率が高い
のは、調査対象店が切り花中心の店が多かったためと思われます。
気候などに左右されることも含めて、ロス率は5%内外であるという記録も
あります。
枯れて捨ててしまうというロスのほかに、もうひとつ見落としてはならない
ものがあります。
それは輸送中の荷の痛みによるロスです。
昔は、10%未満の折れや傷みは、クレームとして取りあげてくれなかった
ものでした。しかし、現在では、大部分の市場が荷の傷みについては、値引
きをしています。
このように、輸送中でのアクシデントはしかたありませんが、店に無傷で
花が到着したら、そこからは花屋の腕の見せどころとなるわけです。
誰でも、市場から花を仕入れてきてすぐ水揚げをしたときは、きれいに
飾れるものです。
それを1日経過し、2日たっても、仕入れてきたときのように新鮮で、
みずみずしく、花が生き生きとして見えるように手入れをしていくのです。
少しでもロスをなくすやめには、仕入れ、輸送中、店での手入れなど、
あらゆる過程をプロの目で確実に把握していかなければなりません。